悩んでつらい思いをしている全ての人へ

「ホリディ」はお勧めの映画です。

恋愛映画ではあるけど、ケイト・ウィンスレット演じるアイリスは、元彼に利用されていることを判っていながらも未練があり、その状況から抜け出せなく苦しみもがいています。そんな彼女が、キャメロン・ディアス演じるアマンダと家を交換して、それぞれがホリディを過ごし、その過程で本来の自分と本当に望んでいたものを取り戻す話です。

 失恋で大きな傷を負ったアイリスの苦悩には、恋愛に限らず人生においての挫折に当てはまるように感じます。特に、ホリディ先で出会った相手に、胸の内を明かすセリフには、自分の胸の中にある傷についての話ととらえると、とても納得がいき勇気づけられるのです。

「こんな時は自分がちっぽけに思えて、心がきしんでズキズキ痛むのよ。

 髪型を変えてもジムで汗を流しても、女友達とワインを飲んでもダメ

 毎晩自分の何が悪かったのか思いをめぐらせる

 一瞬でも幸せだと思った自分を哀れむ 

 彼が戻るかもしれないと心の片隅で期待する

 でもいつか長い苦悩も終わる

 新しい場所で 大切な人と出会えるわ

 砕けた心は元通りになる

 涙の日々 虚しく過ぎった この数年間 忘れられるわ」

もちろんアイリスがここまで話せるようになるのには、滞在先で新しい発見と経験があったからです。その流れを踏まえてこのシーンを見ると、アイリスと一緒に自分も心の苦悩から解放される気になります。

 よく言われる「時間が解決する」ということかもしれないけど、そこに至るまでには新しい経験が必要で不可欠なのかもしれません。辛いから苦しいからと言って、ジッとしていてはいけない、自分から動かなくては、そんな勇気を貰えました。

 別に恋愛でなくても、今悩んでいて辛い人、なぜか上手くいかず苦しい思いをしている人、気分転換に「ホリディ」を見て欲しい、きっと前向きな気持ちへの変化を体感できるはずです!

カラフト犬の悲しい運命~子供の頃に見た映画「南極物語」と 本「その犬の名を誰も知らない」~

 第一次越冬隊のカラフト犬の世話係を務めた北村奏一氏の追憶の物語を読んだ。南極に置き去りにされ、生き残ったタロとジロと共に行動していたと言われる第三の犬が誰かを解き明かしていく内容である。

 既に見ている映画でも、リーダー犬のリキがタロとジロを助け、第二次越冬隊が来る直前に命を落とすように描かれていたような記憶がある。約40年近く前だからうろ覚えかもしれないが。なので、「第三の犬は?」と随分引っ張りすぎな感じを受けた。検証と言っても記憶の整理がメインなので、最終的な結論も、確実性の高い推測にすぎないという印象を受けた。

 それでもこの本には、当時の南極で、人間の都合で連れてこられたカラフト犬達が、いかにして身を削ってまで人間に忠実に従う姿が、生きいきと切実に描かれている。そして北村氏を含む越冬隊員達からもそれなりの愛情を受け、過酷な南極で互いに協力し合う様子も十分伺えた。それに映画では描かれなかった、タロとジロ以外の犬たちの遺体の捜索、回収、死因の推測、そして水葬に至るまで、動物が好きな人には耐えがたい悲しい情景が、北村氏の愛情と共に綴られていて涙で文字が霞んでしまった。それだけになぜ、ここまで愛情を持っている犬達を置き去りにしてしまうのかと、時代による価値観が背景にあるとはいえ、天候が悪く基地に近づけなくなったからと原因はわかっていても、やはり怒りがこみあげてきた。

 今もなお世界中では、人間が身勝手に動物の命を利用し続けている。文明の発達と共に私たちの価値観も成熟していかなければならないのに。